新上五島訪問

3月10日(木)から3月12日(土)にかけて、邦明研が携わる「SmartGOTO」現地視察のため、長崎県・新上五島町を訪問しました。

「SmartGOTO」プロジェクト

新上五島町は、長崎県・五島列島のうち、中通島・若松島からなる町で、人口1万6千人ほどの離島です。島は大きく、北部の津和崎地区から中心地までは35kmもあります。また、山がちの地形で、道路はアップダウンが激しく、曲がりくねっているため、移動には予想以上に時間がかかります。そのため、従来から島内交通は課題で、自家用車、バスのほか、船なども活用されてきましたが、現在の高齢化率は43%と非常に高くなってきており、買い物や医療など、生活を成り立たせるための移動手段の確保が叫ばれています。

そこで、トヨタ自動車の支援のもと、2021年2月から「SmartGOTO」というサービスがはじまりました。これは、利用者一人一人の移動ニーズに対し、複数の交通手段を一括して検索、予約を行い、最適な利用ができるようにする「MaaS(マース:Mobility as a Service)」の一環です。過疎地域では、バス路線を開設できるほどの需要がなく、こうした最新の技術を活用して、従来より効率的に移動サービスを提供する必要がありました。

SmartGOTOで使われている車

新上五島町では、従来のバス路線の廃止に合わせ、順次SmartGOTOのサービスエリアを拡大させています。専用のタブレットが、家庭、公民館、スーパーなどに配布され、利用者はこのタブレットから、目的地、利用時刻を指定して予約します。料金の支払いは、カードをタッチすることで、完全キャッシュレスで行えるようになっています。予約情報をもとに、ルートが最適化され、効率的なデマンドバス運行ができる仕組みです。

SmartGOTOの予約画面

現在は実証実験期間中で、高齢者によるタブレットの操作性の問題、運転手の業務時間の問題など、課題も多くあります。邦明研では、トヨタの方と連携しながら、効率的な運行、良いサービスの提供に向け、研究に取り組んでいます。

SmartGOTO

博多〜新上五島

1日目は、飛行機で福岡空港まで行き、博多港から新上五島まで夜行フェリーで向かいます。研究室の片付けがあったので、昼過ぎに大学を出発、福岡は夜着でした。フェリー内で、一緒に行く東京大学福田研究室とも合流します。翌朝は5時台と早朝の到着です。

奈良尾地区

1日目は、島内を散策します。まずは、フェリーターミナルのある有川から、島の最南端にある奈良尾へ移動。天然記念物に指定されている「奈良尾のあこう樹」は、樹齢650年を数える新上五島のパワースポットです。

桐地区

次に、奈良尾から程近い桐集落へ。新上五島には、キリスト教伝来当初から数多く教会がつくられ、現在でも町内には29の教会が点在しています。そのなかの1つ、頭ヶ島天主堂は、世界文化遺産にも登録されました。桐地区の桐教会は、60年以上前に建設され、教会のある高台からはエメラルドグリーンの海も見渡せます。

若松地区

中通島から若松大橋を渡って若松島へ。お昼は若松港ターミナルでとりました。ターミナルの周辺は公園として整備され、海を見渡せるのんびりとした場所です。

北部半島地域

最後に、中通島の北部に細長く伸びる半島部分を訪問しました。海まで切り立った険しい地形が続き、斜面に集落が点在しています。津和崎までは遠かったので、途中の江袋教会と赤波江教会を訪れました。島の中心部からも距離があるこの地区では、かつては車ではなく船を使って移動していたそうです。現在も半島の中央の高台を走る道路と集落までは高低差がある場所が多く、地域の方の移動も大変そうでした。

ミーティング

宿泊先の「有川青少年旅行村」に移動後、ロッジでトヨタの担当者の方とのミーティングを行いました。SmartGOTOのシステムについて改めて説明をしていただき、島を巡った感想などをもとに、いろいろと意見交換をすることができました。

夜は福田研究室とBBQで親睦を深めました。

3日目以降

3日目も島内をドライブしました。先生には、五島名物の五島うどんを奢っていただきました。世界遺産の頭ヶ島天主堂にも行くつもりでしたが、時間がなく残念ながら次回までお預けになりました。

午後のフェリーで佐世保へと移動しました。新上五島は、のんびりとした時間が流れ、本土とはまた違った景色を楽しめる、おもしろい島でした。SmartGOTOプロジェクトはこれからも続いていくので、そのプロセスを見守るとともに、また機会があれば訪島したいと思います。

学生はその後、佐世保から長崎に移動し、九州を観光してから帰りました!卒業する学生も2人いたので、良い思い出になりました。

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